TVでやっていたので、今さらながら「モンスター」という映画を観た。
この映画は実在した元娼婦の連続殺人犯、アイリーン・ウォーノスの生涯を映画化したもので、
2003年の製作で主演のシャーリーズ・セロンがアカデミー主演女優賞を獲ったりと、なにかと評判だった映画のようです。
内容は娼婦のアイリーン(シャーリーズ・セロン)と同性愛者のセルビー(クリスティーナ・リッチ)が愛し合うようになり、
二人の生活の金策の為、アイリーンが殺人を犯していくという物語(実話)なんだけれども、
アイリーンの精神描写もさることながらアメリカ社会の絶望的な状況も垣間見れ、
悲哀に満ちた不条理的映画としても素晴らしい1本です。
例えば、アイリーンは13歳から娼婦になっている身の上で(実際は14歳、娼婦しか出来ないという状況が絶望的)、
そのアイリーンが街角に立ち売春するシーンで、
まず、ヒッチハイクで車を止め、乗せてもらったら、
「2人の子供の為にお金を稼がなくちゃいけないの・・」(もちろん嘘)
と言い売春(主にフェラ、フェラを交渉するというところがリアル)の交渉をし始めるシーンなんかは、
おそらくリアル娼婦の交渉でもある感じではないかと思えるし、
街角に立つ格好も派手な衣装や化粧できめるのでなく、
Tシャツとジーンズでノーメイクな格好で交渉する所なんかはほぼ実際の娼婦というか、
仕事のないアメリカ女性が手っ取りばやく稼ぐ行為として、
日常の何処でもある普通の光景なんだろうと思うと、
なんとも絶望的なアメリカ社会が見えてくる感じがします。
大家にサンドウィッチを貰ったお返しに「咥えようか?」というセリフも日常的なのだろう
しかし、1番の見所はやはり、めちゃくちゃなアイリーンの精神描写。
今まで、不幸の連続だったアイリーンがセルビーという愛し愛される「ひと」と出会い、
やっと運が向いてきたと高揚し、
アイリーンはセルビーの為に生きていくことを誓い幸福感に包まれ行動する。
しかし、取った客から暴行を受け、逃げ出す為に銃殺し、持ち金と車を奪い逃走。
捕まるのを恐れ、堅気の仕事を見つけようとするが、
娼婦しかやってきていないアイリーンに堅気の仕事が見つかるはずもなく、仕方がなく娼婦に戻る。

「人生は奇妙だ。思ってもいない方向に進んでいく」

セルビーには殺しのことは内緒だが、お金を持って帰ると喜ぶセルビー。
アイリーンは「愛する」ことを知り「売春」をすることに嫌悪し、それを求める客を殺す。
アイリーンは「殺し」についてなにも感じないわけではない。
「罪は犯していないと神に言える〜〜〜〜〜
信じられるひとがいれば、わたしは身を捧げよう・・・わたしはセルビーを信じる」

もちろん、自己正当化する為の詭弁ではあるのだが、このあたりの描写が恋は盲目的であり、
「ひと」「ひと」を愛する悲哀性や狂気性が表現されていて、涙出そうです(泣
そして、ラストシーンに向かうのですが、ここが本当に泣ける(泣(泣(泣
詳しくは言いませんが、
連続殺人犯がハッピーエンドに終わるはずもなく、
最後は捕まり罪を認め「死」を自ら覚悟するのですが、
その過程、セリフが最上級の不条理感を魅せます!
「愛は全てに勝つ
絶望の果てにも希望の光がある
信仰は山をも動かす
愛があれば道が開ける
物事には全て道理がある
生きているかぎり希望がある・・・・・・・
・・・・・・全部、戯言だよ・・・(アイリーン)」


ドキュメンタリーも制作されているので、
実際の状況やアイリーンの気持ちは映画とは違うんだろうけど、そちらも見てみたいです。
実在のアイリーンはこれ如何に??
PSしかし、上↑下↓が同一人物だなんて・・・俳優って凄いね・・・